アイコンとは

【アイコン】Icon


(中略)このIconなる英語は、実は、「イコン」すなわち、ギリシア正教でいうところの「聖母像や殉教者の肖像画」と語源を同じくしている。
 つまり、キリスト教圏に住む英語国民にとって「アイコン」は、相当に宗教味を帯びた言葉なのである。
 であるからして、漢字および仏教文化圏に住む者の一人として、私は、思い切って「アイコン」を「曼陀羅」と訳してみたい衝動に駆られるのであるが、そういうことをして業界に宗教論争を持ち込んでも仕方がないので、このプランはあきらめよう。
 さて、「イコン」は、聖書主義者あるいはキリスト教原理主義者の立場からすると、卑しむべき「偶像」である。
 彼らは、イコンに向かってぬかづいたりする人間を「アイコノクラスト偶像崇拝者)」と呼んで、ひどく軽蔑する。なぜなら、偶像崇拝者は、何物とも比べることのできない絶対至高の存在である神というものを、絵や彫像のような卑近な視覚対象として描写し、そうすることによって神を貶め、冒涜しているからだ。しかも、偶像崇拝者は、もっぱら神の形にだけ祈りを捧げ、神のみ言葉に耳を傾けようとしない愚かな人間たちだからだ。
 ……ってな調子で、融通のきかない原理主義の人々はコ難しいことを言っているが、一般人は、ばんばん偶像崇拝をしている。
 結局、偶像は、迷える仔羊たちに「神」を実感させる道具として有効なのだ。というよりも、形を持たないものに向かって祈ることは、並みの人間にはなかなかできないことなのである。


【『コンピュータ妄語録』小田嶋隆ジャストシステム、1994年)】


コンピュータ妄語録

元CIA顧問の大物政治学者が緊急提言「米軍に普天間基地の代替施設は必要ない! 日本は結束して無条件の閉鎖を求めよ」


アメリカ帝国への報復 帝国アメリカと日本 武力依存の構造 (集英社新書)

計篇


 作戦を「謀」(はかりごと)と言うが如し。

 計とは、はかり考える意味。開戦の前によくよく熟慮すべきことを述べる。(「計篇第一」)


【『新訂 孫子金谷治〈かなや・おさむ〉訳注(岩波文庫、2000年)】


孫子 (ワイド版岩波文庫) 新訂 孫子 (岩波文庫)
(※左がワイド版、右が文庫本)