古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

平和賞授与でオバマ氏、アフガン「正しい戦争」


 テレビも新聞も見ないので、こんなニュースがあったことを知らなかったよ。

 オバマ米大統領に対する2009年のノーベル平和賞の授与式が10日、オスロの市庁舎で行われた。
 現職の米大統領の平和賞受賞は、1906年セオドア・ルーズベルト、19年のウッドロー・ウィルソン両氏に続き3人目。
 授与式での演説でオバマ大統領は、「平和を維持するためには戦争という手段が演じる役割もあるのだ」と述べ、アフガニスタン戦争を「正しい戦争」と位置づけた。その上で、今月1日に発表したアフガンへの米軍追加増派に関し、「米国民が直面している脅威を座視は出来ない。交渉でアル・カーイダ武装解除することは出来ないのだ」と語って戦争遂行の必要性を強調した。受賞理由の一つとなった「核なき世界」についても、実現に向けた決意を改めて表明した。


【読売新聞 2009-12-11】


 オバマは誤っている。戦争という戦争は「全て正しい」のだ。戦争の原動力は「正義」である。自分の正義を手放さない限り、人類に平和が訪れることはないだろう。

大量破壊兵器なくても「正しい戦争」=対イラク参戦で前英首相


 ブレア前英首相は12日、BBC放送の番組に出演し、2003年のイラク攻撃への参戦決定について、当時のフセイン大統領が大量破壊兵器を持っていたかどうかとは別の次元で決断したと主張した。BBC放送(電子版)が伝えた。
 ブレア氏は「フセイン大統領の考え方そのものが中東の脅威だった。(フセイン政権による)大量破壊兵器開発はその一つにすぎなかった」と釈明した。また、当時は「脅威の性格について(現在とは)違う議論をしなければならなかった」とも訴えた。
 その上で「今でもフセイン大統領がいた方がよかったのか。フセイン大統領の2人の息子が権力を握っていた方がよかったのか。そうは思えない」と強調し、フセイン政権打倒は正しかったと主張した。


時事ドットコム 2009-12-12】

鹿児島県阿久根市の竹原信一市長の障害者ブログ問題

阿久根市長ブログ障害者記述 「生命の尊さ軽んじている」 医療福祉4団体謝罪求める 鹿児島


 鹿児島県阿久根市竹原信一市長が、自身のブログ(日記風サイト)に障害者の出生を否定するような記述をした問題で、福祉・医療従事者らでつくる県内4団体は9日、謝罪を求める声明を市長に郵送した。
 4団体は、県ソーシャルワーカー協会と県医療ソーシャルワーカー協会、県精神保健福祉士協会、県社会福祉士会。
 声明は「障害者の生きる権利や幸福を追求する権利を否定し、人間の生命の尊さをあまりにも軽んじている」と批判。障害者や家族、関係者に与えた心の傷は大きいとして謝罪を求めている。
 9日は1975年に「障害者の権利宣言」が国連総会で採択された日で「障害者週間」(12月3−9日)の最終日に当たる。県社会福祉士会は「市長の立場での発言が、障害者や関係者に、より大きなショックを与えることを認識してほしい」としている。
 竹原市長は11月8日付のブログに「高度医療のおかげで以前は自然に淘汰(とうた)された機能障害を持ったのを生き残らせている」などと記述。「『生まれる事は喜びで、死は忌むべき事』というのは間違いだ」とも主張し、障害者団体などから批判が相次いでいる。

西日本新聞朝刊 2009-12-10

障害者ブログ問題 阿久根市長、謝罪拒む 市議会一般質問 問題提起と強弁


 鹿児島県阿久根市竹原信一市長が自身のブログで障害者を差別的に記載している問題が14日の市議会一般質問で取り上げられ、市議が謝罪を求めたのに対し、竹原市長は「謝罪する気持ちはない」と突っぱねた。市民からは「謝ってほしかった。残念だ」と失望する声が上がった。
 市長は11月8日付のブログに「高度医療のおかげで以前は自然に淘汰(とうた)された機能障害をもったのを生き残らせている」などと記述。障害者団体が「障害者や家族の心を土足で踏みつけにした」などと抗議文を提出したり、全国から市役所に抗議電話やメールが殺到したりしている。


西日本新聞 2009-12-14

障害者ブログ問題 傍聴者から批判続出 阿久根・竹原市長の謝罪拒否答弁 発言擁護する議員も


 鹿児島県阿久根市竹原信一市長の障害者ブログ問題は14日、市議会で謝罪を求める一般質問が相次いだが、竹原市長は「この問題は社会全体として考える必要があり、謝罪することは反対方向に進む」と答弁し、謝罪を拒否した。これに対し、市議や傍聴者の間では賛否が分かれた。


西日本新聞 2009-10-15

負け組投資家に共通する心理/『マーケットの魔術師 米トップトレーダーが語る成功の秘訣』ジャック・D・シュワッガー

 ・負け組投資家に共通する心理

『デイトレード マーケットで勝ち続けるための発想術』オリバー・ベレス、グレッグ・カプラ
『ゾーン 最終章 トレーダーで成功するためのマーク・ダグラスからの最後のアドバイス』マーク・ダグラス、ポーラ・T・ウエッブ
『なぜ専門家の為替予想は外れるのか プロが教える外国為替市場の不都合な真実』富田公彦


 既に古典となった感のあるトレーダーの教科書。名立たるビッグプレイヤーのインタビュー集である。シュワッガーの投げ掛ける具体的な質問が、彼等の相場哲学を巧みに引き出している。読むのは二度目だが、わかりやすい言葉の奥に光を湛(たた)えた鉱物が隠されている。ヒントが答えとなり、答えがヒントに転じる。相場師が真実を語ることは少ない。そもそも魔術師に種明かしを期待する方がどうかしている。

Q●それらの要因を考慮した上で、儲けることのできないトレーダーにはどんな特徴があるのでしょう。


Dr.バン・K・タープ●儲けることのできないトレーダーは、次に述べるようないろいろな側面を持っています。非常に強い緊張を強いられておりリラックスできない、悲観的な人生観を持っていていつも最悪の事態を想定してしまう、心の中にたくさんの矛盾を持っている、物事がうまくいかなくなったときに他人のせいにするなどといったものです。そのような人は何事においても優柔油断であり、常に周りの行動に左右されてしまうのです。また、彼らは計画的ではありませんし、忍耐強くもありません。すぐに行動しようとしてしまいます。しかし、儲けることのできないトレーダーの多くが、今述べたような悪い面を全て持っているわけではありません。一部分を持っているに過ぎないのです。


【『マーケットの魔術師 米トップトレーダーが語る成功の秘訣』ジャック・D・シュワッガー/横山直樹訳(パンローリング、2001年)】


 バン・K・タープは投資家の心理マネジメントを生業(なりわい)とする人物である。マーケットは万人の欲望が剥(む)き出しになっている世界である。過酷なまでに平等な世界は厳しい損益でもって評価される。そこでは1円の誤魔化しもインチキも通用しない。リスクをコントロールできなければ、含み益はあっという間にマイナスとなり、損切り追証という仕打ちが待っている。


 建玉・決済の判断はいつだって微妙にして繊細なものだ。一瞬の心の揺れ――そこに投資家の人生が凝縮されている。過去の僥倖(ぎょうこう)にしがみつき、心の中で「たられば」を繰り返し、自分に自分で言いわけをしながら損に損を重ねているのが一般投資家の実態であろう。これをタープは「緊張と矛盾の露呈」と指摘している。つまり、ストレスと嘘があるわけだ。


 しかしながら、タープの心理的アプローチそのものが「投影」を前提としており、科学的な根拠や因果関係を証明しているわけではない。かようなタイプが多いという程度の話だ。


 何かを鵜呑みにする人はコントロールされやすい人物である。タープの発言はひょっとするとポジショントークかもしれない(笑)。「だからあなたは、私にカウンセリングを受けるべきなのだ」と。


 情報は「使う」ものだ。情報が教条と化す時、一般投資家はマーケットから弾き飛ばされることだろう。自ら学ぶことなくして、この世界で幸福を勝ち取ることはできない。


ジェフリー・ディーヴァー


 1冊読了。


 135冊目『スリーピング・ドールジェフリー・ディーヴァー池田真紀子訳(文藝春秋、2008年)/キャサリン・ダンスという女性捜査官が主役。新シリーズのようだ。これがまた凄い。彼女は、話し方やボディランゲージから心理を読み解くキネシクス分析のスペシャリスト。カルト教団のリーダーが脱獄した。彼もまた人の心を見抜く天才だった。そして神の如く人の心を操るのだった。スピーディーな展開に磨きがかかり、まるで『24』さながら。読者を騙す仕掛けがあちこちに盛り込まれている。そんじょそこいらに転がっているミステリの5冊分に匹敵する内容だ。一つだけ瑕疵(かし)を挙げるとすれば、終盤で二転三転する展開はディーヴァーの才が勝ち過ぎて鼻につく。昨日深夜読了。540ページで上下二段組だが3日もあれば読めてしまう。

書物

「その人間が、考えていることを書物にするまでには、おそらく一生を費やしたのじゃないかな。世界を見、人を見、一生を賭けて考えぬいたあげく、書物のかたちにしているのだ」


【『華氏451度』レイ・ブラッドベリ/宇野利泰訳(早川書房、1964年/ハヤカワ文庫、1975年)】


華氏451度 (ハヤカワ文庫SF)