J.クリシュナムルティ


 1冊読了。


 117冊目『私は何も信じない クリシュナムルティ対談集』J.クリシュナムルティ/大野純一編訳(コスモス・ライブラリー、2000年)/『ツァイトガイスト』を観て、直ちに取り寄せた。静けさの中にも銅鑼(どら)のような響きを湛(たた)えた不思議な声。誰にでもわかるやさしい言葉で、人々の常識を打ち砕いている。クリシュナムルティの名前は知っていたが、まさかこれほどとは思わなかった。まあ、ぶったまげたよ。宗教でもなく哲学でもない。そして思想ですらないのかもしれない。「思念」というのが相応しいと思う。ブッダの対機説法を彷彿(ほうふつ)とさせる当意即妙の対話だ。クリシュムナルティは、思考を解体して自分自身の中に存在する真理を見よと教えている。「ただ、見よ」と。これこそ観心か。教義を否定し、グル(指導者)を否定し、組織を否定しながらも、彼の言葉は仏教そのものと感じてならなかった。衝撃の一冊である。尚、訳者による「あとがき」は、クリシュナムルティニューエイジのレベルに貶(おとし)めるもので、噴飯物という他ない。

世界銀行とIMFの手口

 スティグリッツ氏自身の経験によれば、エチオピアで初の民主的選挙で大統領が選ばれた際、世界銀行IMFは新大統領と経済政策について協議した。その時、世界銀行IMFは「海外からの援助金をアメリ財務省の特別口座に預け入れるように」と命令したという。そうすれば4%の利息が支払われるとの提案だった。
 しかし、エチオピアアメリカの民間の金融機関から援助の一環として受けることになったドル融資には、12%の金利が付けられていたのである。世界銀行IMFの言うことを聞けば、差し引き8%の金利となり、エチオピアの財政は新政権の発足から大赤字になることは明々白々であった。
 当然のことながら、エチオピアの大統領は「国民の生活を改善するために融資を使いたいのでアメリカの財務省に預けることは勘弁してほしい」と懇願した。しかし、その願いは受け入れられず、アメリカの銀行から融資されたドルはそのままワシントンの財務省の口座に移し換えられたのである。
 これが事実とすれば、「世界銀行IMFアメリカ帝国主義の手先だ」とするデモ隊の批判も一理あるといえよう。ちなみに、この衝撃的な内部告発をしたスティグリッツ氏は2001年のノーベル経済学賞の受賞者であり、決して根拠のない問題提起をしているとは思えない。


【『通貨バトルロワイアル浜田和幸集英社、2003年)】


通貨バトルロワイアル