広河隆一


 1冊読了。


 45冊目『パレスチナ 新版広河隆一岩波新書、2002年)/旧版は1987年に刊行されている。フォト・ジャーナリストである広河隆一は何度も現地を取材している。つまり、現場から見た「パレスチナvsイスラエルの歴史」が書かれている。これは凄い。2〜3ページ置きに付箋をつける羽目となってしまった。世界の現状、国際協力の欺瞞、民族紛争、宗教紛争、自爆テロの理由などが理解できる。他民族にはまったく関係のない「聖書」という台本を理由にして、パレスチナの国土を勝手にぶん取ったのがイスラエルであり、シオニズム運動だった。これに資金提供をしたのがあのロスチャイルドだ。世界の金融界はユダヤ人が牛耳っている。それにしても酷い。イスラエルナチスと同じことをパレスチナ人に対して行っている。国際ニュースの多くは米英が発信しており、イスラエル側に有利な報道がなされている。ユダヤ教キリスト教イスラム教の関係もよく理解できた。本書を高校世界史の教科書にすべきだ。本気でそう思う。

オーストラリア・カジノとつながるヴァチカン財務部/『無境界の人』森巣博


 森巣博(もりす・ひろし)はオーストラリア・カジノを拠点とする博徒(ばくと=ギャンブラー)である(森巣は「カシノ」と表記している)。本書のテーマは「日本人論」であるが、自在な筆致はギャンブル哲学を通奏低音とした小説のような味わいもある。


 で、ギャンブラーの知的な弁解を紹介しよう――

 いろいろな持ち株会社が交錯して複雑なのであるが、資本の流れを追うと、その謎が解ける。カシノ・オーストラリアには二つの大株主が存在する。ひとつは、オーストラリア・ペンション・ファンド(日本で言う厚生年金基金。老齢年金のための投資を行うオーストラリアの準政府機関)。もうひとつが、なんとヴァチカン財務部に行き着く。この二者でカシノ・オーストラリアの過半数の資本(つまり管理経営権)を握っている。畏れおおくもかしこくもカトリック教会が、カシノライセンスを寄越せと、国あるいは地方行政府にねじ込むのである。いや、失礼した、ロビー活動を行うのである(オーストラリア・クイーンズランド州ケアンズにできたリーフ・カシノには、持ち株会社も介在せずに、直接カトリック教会が10パーセントの資本参加をしている)。
 すなわちわたしがこのカシノの博奕で負けても、そのお金は、オーストラリアの老人福祉に使われるか、有り難くも神様のところへ行くのである。もう死後のわたしには天国での居場所が用意されているのだ。博奕ヲ止メマショウ、などと神を畏れぬ不届き者は、地獄へ行け。


【『無境界の人』森巣博小学館、1998年/集英社文庫、2002年)】


 ヴァチカン市国は言わずと知れたカトリックの総本山であり、世界最小国だ。なんと東京ディズニーランドより狭い(Wikipediaによる)。でだ、カトリックと言えば日本にキリスト教を持ってきたフランシスコ・ザビエルが思い出される。そう。イエズス会のメンバーだ。これが1549年のこと(「以後よく(1549)伝わるキリスト教」と中学で暗記させられた)。つまり、500年前からキリスト教は確かな世界戦略を描いていたということになる。


 昔であれば当然のように珍しい物や便利な物をちらつかせて交渉に臨んだことだろう。海老沢泰久著『青い空』(文藝春秋、2004年)では、江戸時代の日本人に治療を施す外国人キリシタンが描かれていた。


 文明が進んでいたヨーロッパからやって来る宣教師は、それぞれの国の産業動向を見極め、貿易の一助を担ったものと想定できる。


 中世における「教会という名の権力」――その意味を知らずして西洋社会を理解することは不可能だ。宗教は、政治・学問のはるか頭上に君臨していたのだ。


 十字軍の歴史を思えば、キリスト教の世界戦略が「世界征服」だったとしても、誰一人驚かないことだろう。私なら、オーストラリア・カジノをヴァチカン市国が経営していたとしても驚かないよ。


無境界の人 無境界の人 (集英社文庫)
(※左が単行本、右が文庫本)

KDDI代理店


 この手の代理店は何でも屋だ。ある時は携帯電話を売り、またある時は光回線を販売している。テレアポ(電話営業)の手口はコンプライアンス違反というよりも完全な違法行為と化しており、「何でもやってのける何でも屋」という様相を呈している。


 電話営業については、特定商取引法で様々な規制がある。

 先ほどKDDIの代理店から電話があった。開口一番、「電話料金をお安くするプランのご案内です」と来たもんだ。新人アルバイトと見えて完全にマニュアルを棒読みしていた。「お客様はインターネットをご利用ですか」「はい」「今回のご案内はインターネットをご利用していない方に限らせていただいていおります。失礼しました」で終わった。


 KDDIに苦情を入れてもきっと無駄だろう。連中は、こうしたことを見越した上でわざわざ代理店を募集しているのだ。大手新聞社が拡張団を使って新聞購読の勧誘をしているのと同じ構図。


 しつこい場合には、社名・住所・電話番号・氏名をネット上にさらすべきだ。私のように(笑)。

「ゆめの在りか」のあのわ


 これは珍しい。Yukkoというリードボーカルがチェロを弾いている。チェロの落ち着いた音と子供のようなボーカルのアンバランスがグッド。アレンジもひとひねり効いている。クラシックの土壌があるためか、クイーンの名曲「ボヘミアン・ラプソディ」と構成が似ている。で、曲の雰囲気を支えているのは繰り返されるキーボードのフレーズだ。私の嫌いな「泣き声系」だが、のあのわに関しては許そう。



ゆめの在りか