古本屋の覚え書き

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講談社などに4290万円賠償命令 大相撲八百長報道

 大相撲の「八百長」疑惑を報じた雑誌「週刊現代」の記事をめぐる名誉棄損訴訟で、東京地裁は26日、発行元の講談社(東京都文京区)などに計4290万円の支払いと、記事を取り消す内容の広告を同誌に掲載するよう命じる判決を言い渡した。中村也寸志裁判長は「取材は極めてずさんというほかない」と同社側の姿勢を厳しく批判した。
 横綱朝青龍ら力士30人と日本相撲協会が約6億2千万円を求めていた。判決は、力士全員と協会への賠償を命令。最高額は「八百長を頻繁にしていた」と報じられた朝青龍の1100万円で、協会は660万円だった。
 八百長疑惑報道をめぐって同社側が名誉棄損を認定されたのは、北の湖親方が原告となった訴訟の判決(今月5日)に続いて2件目。今回の判決の賠償額は、雑誌の記事をめぐる名誉棄損訴訟で命じられた賠償総額としては過去最高とみられる。
 問題となったのは、同誌が07年2月3日号から連載した「横綱朝青龍八百長を告発する!」など3本の記事。
 判決は、記事を書いたフリーライター武田頼政氏(50)が「関係者から八百長について聞いた」と主張したことを「八百長の合意や金銭の授受についての具体的な内容を明らかにしておらず、真実であると裏付けられない」と指摘。証人として出廷した元小結・板井圭介氏の証言も裏付けにならないと判断した。
 そのうえで、70万部を超える雑誌の連載で社会の注目を集めたことなどの背景を挙げ、「八百長が認められるなら力士生命に直接かかわるもので、黙認した協会も存立の危機になりかねない」と高額の賠償を認めた理由を説明。「被害回復は損害賠償だけでは十分ではない」として取り消し広告の掲載も命じた。



 週刊現代・乾智之編集長のコメント この判決で相撲協会に対してさまざまな改革を求める機会が失われてしまうことを危惧(きぐ)する。



朝日新聞 2009-03-27】

駄洒落炸裂/『「ふへ」の国から ことばの解体新書』小田嶋隆

 小田嶋隆は駄洒落が上手い。下ネタともなると超絶的な技巧が冴える。この際、当ブログの品位をかなぐり捨てて、抱腹絶倒の駄洒落を紹介しよう。解説はするまい。黙って笑ってくれ給え――

 さすがに、コンドームの自販機がしゃべるのはまだ聞いたことがないが、あいつだって黙ってはいないかもしれない。
「よっ、兄さん、今夜は頑張れよ」
 と、コンドームの自販機が親しげに話しかけてくる……あり得ない話ではない。内臓されたセンサーで客の性別、年齢を判断して、かけ声だってそれぞれに使い分けてくるかもしれない。
「これはこれは、こんな粋な姐さんの中に入れるなんて、スキン冥利(みょうり)に尽きるとはまさにこのことですよ」
「旦那、お元気ですねえ。そのお歳で2ダースとは。いや、恐れ入りました」
 客引きだってするかもしれない。
「ほらほら、そこの高校生のアベックさん。ハマらぬ先のゴムってね。あっしを付けてりゃ心配はゴム用。どうです、『背中の水子が泣いている』だなんて、シャレにもなりゃしませんぜ」
 冗談を言っている場合ではないが、これもあながち冗談ではないのである。
 なぜって、我が国の技術者という人たちは、それが必要かどうかなんてことにはまるで関心がなくて、技術的に可能でさえあれば、結局はどんなことでも実現してしまう連中なのだから。


【『「ふへ」の国から ことばの解体新書』小田嶋隆徳間書店、1994年)】