古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

ガンジーは民族主義者に過ぎなかった/『ガンジーの実像』ロベール・ドリエージュ

『アンベードカルの生涯』ダナンジャイ・キール

 ・ガンジー民族主義者に過ぎなかった
 ・ガンジーはナショナリスト(民族主義)指導者だった
 ・若い女性に同衾(どうきん)を命じたガンディー
 ・暴力を肯定したガンディー

『不可触民 もうひとつのインド』山際素男
『中国はいかにチベットを侵略したか』マイケル・ダナム


アキバ系OL うちこのヨガ日記」で本書を知った。それにしても、文庫クセジュは紙質が悪いね。これじゃあフランス人に怒られちまうよ。

 フランス人はイギリス人を猿だと思っている。そして、イギリス人は日本人を猿だと認識している。以前、そんな話を聞いたことがある。つまり、フランス野郎はいけ好かないってことだわな。文化の宗主国にして、革命とレジスタンスの国。ナポレオン、ジャンヌ・ダルクユゴー……。わかったよ。私の負けだ。

 ってなわけで、フランス人作家によるガンジー伝は、「ハハン、所詮アジアの小男だろう?」的なムードが漂っている。冷徹。誇張もなければ矮小もない。等身大とまでは言わないが、ガンジーにまつわる新聞記事を読んでいるような気分になる。これはこれで可とすべきだろう。

 作家のV・S・ナイポールが記しているように、『自伝』のうち250頁が南アフリカに費やされているが、この国の黒人問題についてはほぼ一言も触れていないことは注目に値する。あたかも彼らは存在していなかったかのようである。南アフリカの問題は、白人とインド人の平等認識問題に帰している。当時のガンジーを動機づけていたのは、社会正義そのものというよりは、南アフリカ社会における同郷インド人の権利であった。

【『ガンジーの実像』ロベール・ドリエージュ/今枝由郎訳(白水社文庫クセジュ、2002年)】

 ガンジー民族主義者だった。ガンジーが心を砕いたのは南アフリカにおける「インド人の権利」だった。ガンジーは政治家だった。そして彼はインドの国益のために戦った。だが、ガンジーは不可触民の敵であった。


三好徹


 1冊読了。


 36冊目『チェ・ゲバラ伝』三好徹(文藝春秋、1971年)/面白くなかった。それでもゲバラを知るためには読む必要がある。私が読んだのは98年の改訂版原書房)だが、表紙はこちらの方がよい。憂愁とも呻吟(しんぎん)とも受け取れる面影だ。ゲバラカストロの出会いと友情、そして二人の違いがよくわかった。ゲバラは高潔な革命家であった。そして、アメリカ帝国主義と本気で戦い、39歳で花と散っていった青年でもあった。ゲバラの理想は正しかったと思う。しかし、正しいだけでは勝つことができなかった。正義が敗れるところに、この世界が抱える問題の本質がある。

職務質問 兵庫県警新港交番


 ♪イヌの〜 おまわりさん 困ってしまって ワンワンワワーーン ワンワンワワーン


 イヌのお巡りさんが困っているぞ。そう。権力の犬だ。奴等は絶対正義原理主義者だ。いつだって体制に額づき、職務に忠実であろうと日夜奮闘している。ハンディカメラは市民にとって武器となり得る。メディアが使うと凶器になるんだけどね(笑)。映像を見る際の留意点は、カメラがどちらの側から撮影しているかということ。