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上海総領事館員が昨年自殺、「中国が機密強要」と遺書


 中国・上海の在上海日本総領事館に勤務していた40歳代の男性館員が昨年5月、中国側から外交機密に関連する情報などの提供を強要されていたとする遺書を残し、総領事館内で自殺していたことが分かった。
 外務省は館員が死亡したことは認めているが、「遺族の意向があり、詳細については話せない」としている。
 複数の政府関係者らによると、館員は、総領事館と外務省本省との間でやり取りされる公電の通信技術を担当する「電信官」だった。
 自殺後、総領事や家族などにあてた遺書が数通見つかっており、このうち総領事あての遺書の中に、中国人の男から交友関係を問題視され、総領事館の情報を提供するよう求められたという趣旨の内容が記されていたという。
 要求された項目は、総領事館に勤務する館員の氏名や、外交機密に属する文書などを上海から日本に運ぶ際に利用する航空便名――などだったといい、男は情報機関関係者だった可能性が高いとみられている。
 遺書の中に、「国を売ることはできない」などとも書かれており、館員は外交機密に関する情報は男に伝えなかったとみられる。
【2005年12月27日3時6分 読売新聞】

自殺した総領事館員と接触の男、中国工作員


 在上海日本総領事館の男性電信官(当時46歳)が昨年5月、中国側から外交機密関連情報などの提供を強要されたとする遺書を残して自殺した問題で、電信官に接触してきた男は、沖縄県尖閣諸島魚釣島を巡る問題に対する日本側の方針や、総領事館員の出身省庁などの情報も提供するよう求めていたことが分かった。
 男は電信官に、中国の警察当局にあたる「公安」の職員と名乗っていたことも判明。外務省など日本側関係当局では、この男は、外国人に対する諜報(ちょうほう)活動を行う中国側の工作員だったとみて、情報収集を進めている。
 政府関係者によると、電信官は、総領事館と日本の外務省が連絡を取り合う際に使用する暗号の組み立てや解析を担当。当時の総領事にあてた遺書に、自分が受けた強要などの内容を詳細に書き残していた。
 外務省の調査などによると、電信官は昨年初めごろ、知人の中国人女性に男を紹介された。男は、中国人女性が違法行為を行ったとして「(知人は)罰せられる」と電信官に告知。さらに違法行為の“共犯”として、電信官も処罰や強制送還の対象になると告げた。
 そのうえで、中国が領有権を主張する魚釣島を巡る日本政府の方針を尋ね、「教えなければ(知人と電信官の)2人とも罰せられる」と迫ってきたという。
 男はその後も電信官に情報提供を求め続け、要求項目の中に、総領事館員の氏名や出身省庁、機密文書を運ぶ航空便名などが加わっていった。電信官は当時、別の国の領事館への異動が内定していたが、男は「異動先にも追いかけていく」などと話していたという。
 電信官は、遺書の中で、総領事館員の氏名は答えたものの、他の情報については回答を拒否したと記しているという。
【2005年12月29日3時5分 読売新聞】

 27日発売の「週刊文春」などによると、男性職員は40代で、総領事館と外務省との通信を担当する「電信官」だった。情報機関関係者とみられる中国人の男から交友関係をめぐって脅され、暗号電文の内容などの機密情報を提供するように求められた。昨年5月、男性職員は総領事や家族などにあてた遺書数通を残して自殺。遺書には「自分はどうしても国を売ることはできない」などと書かれていたという。
【日刊スポーツ】

中国政府に4回抗議 上海総領事館員の自殺問題


 政府高官は28日午前、中国の在上海日本総領事館の男性職員が中国から外交機密に関する情報提供を強要されたとの遺書を残して自殺したとされる問題に関連し、外務省の佐々江賢一郎アジア大洋州局長らが中国政府に対し計4回抗議したことを明らかにした。
 抗議は、2004年の問題発生後に当時の杉本信行駐上海総領事、北京の日本大使館の堀之内秀久公使がそれぞれ行ったほか、今月19日には、中国に出張した外務省の泉裕泰中国課長、27日には佐々江局長が王毅駐日中国大使にあらためて申し入れた。いずれも外交官の身体の不可侵などを定めたウィーン条約に反するとの内容。
中国新聞