古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

読書日記

石井光太、斎藤貴男

1冊挫折、1冊読了。 挫折65『物乞う仏陀』石井光太(文藝春秋、2005年/文春文庫、2008年)/文章はいいのだが姿勢が悪い。まだ若いせいなのかもしれない。貧しいアジア諸国の身体障害者を傍観しているだけのレベルにとどまっている。足が20cmしかない美しい…

柳田謙十郎

1冊読了。 106冊目『宗教批判 宗教とは何か』柳田謙十郎〈やなぎだ・けんじゅうろう〉(創文社、1956年)/昨日読了。初版が昭和31年である。敗戦から10年を経て、知識人達がマルクス主義にかぶれるのは自然な流れだったのかもしれない。宗教の起源に始まり…

池谷孝司

1冊挫折。 挫折64『死刑でいいです 孤立が生んだ二つの殺人』池谷孝司〈いけたに・たかし〉編著(共同通信社、2009年)/ワードのような活字に驚かされる。共同通信社の本でもこの体たらく。特異な殺人事件を追ったルポ。どう考えても意味のある仕事とは思え…

ホワイト

1冊読了。 105冊目『科学と宗教との闘争』ホワイト/森島恒雄訳(岩波新書、1939年)/面白かった。これで岩波新書の森島三部作(『魔女狩り』『思想の自由の歴史』)は読み終えた。西洋の科学史は教会との闘争の物語であった。元々は神の存在を証明するため…

サイモン・クーパー、ステファン・シマンスキー、苫米地英人

1冊挫折、1冊読了。 挫折63『「ジャパン」はなぜ負けるのか 経済学が解明するサッカーの不条理』サイモン・クーパー、ステファン・シマンスキー/森田浩之訳(NHK出版、2010年)/面白い。しかし残念ながら私はサッカーファンではなかった。だから130ページ…

クリシュナムルティ

1冊読了。 103冊目『自己の変容 クリシュナムルティ対話録』クリシュナムルティ/松本恵一訳(めるくまーる、1992年)/これは旧訳である。amazonには新訳しかない。クリシュナムルティとアラン・ノーデの対話が収められている。実に率直な質問がぶつけられ…

東浩紀、白戸圭一、グレッグ・ルッカ

2冊挫折、1冊読了。 挫折61『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』東浩紀〈あずま・ひろき〉(講談社現代新書、2001年)/哲学ではなくオタク系文化の評論だった。タイトルに難あり。私は東浩紀の言動に魅了されている一人であるが、著書は一冊…

夢枕獏、J・B・ビュァリ

1冊挫折、1冊読了。 挫折60『上弦の月を喰べる獅子(上)』夢枕獏(早川書房、1989年/ハヤカワ文庫、1995年)/螺旋(らせん)の物語である。日本SF大賞を受賞している。そこそこ期待していたのだが、どうもこの人の変態的な展開についてゆけない。東京駅に…

丹羽春喜

昨日、1冊読了。 100冊目『政府貨幣特権を発動せよ。 救国の秘策の提言』丹羽春喜〈にわ・はるき〉(紫翠会出版、2009年)/これはツイッターで知った本だと記憶している。凄い提言だ。ビックリした。『エンデの遺言』でマイナス金利、スタンプ紙幣、地域通…

森島恒雄

1冊読了。 99冊目『魔女狩り』森島恒雄(岩波新書、1970年)/8月前半の課題図書。これぞ「ザ・新書」。20年ぶりに読んだが、興奮のあまり「ツイッターで全部つぶやいてやろうかな」と思ったほどだ。抑圧されたものは決して消滅しないとフロイトは説いた。魔…

石原吉郎

1冊読了。 98冊目『石原吉郎詩文集』石原吉郎〈いしはら・よしろう〉(講談社文芸文庫、2005年)/今月の課題図書。やはりこれは、V・E・フランクルとセットで読むべきだろう。ナチス・ドイツの強制収容所とシベリア抑留の類似と相違。石原は凡人であった。…

斎藤美奈子

1冊読了。 97冊目『たまには、時事ネタ』斎藤美奈子(中央公論新社、2007年)/昨日読了。ツイッターで「ハサミの値札の法則」が紹介されていたのが、読むきっけかになった。これは「ハサミに付いている値札の糸を切るには別のハサミがいる」という矛盾を衝…

峰島旭雄、和田靜香、苫米地英人、J・クリシュナムルティ

2冊挫折、2冊読了。1週間以上前のこと。 挫折58『西洋は仏教をどうとらえるか 比較思想の視座』峰島旭雄〈みねしま・ひでお〉(東京書籍、1987年)/全く歯が立たず。20ページほど読んで、後はパラパラとめくってみただけ。比較思想は結構なんだが、「比較の…

正木晃、川北稔、菅原出

3冊挫折。 挫折55『マンダラとは何か』正木晃(NHKブックス、2007年)/第一章は面白かったのだが、二章以降はあまり必要のない内容だった。マンダラは瞑想や呪術と密接な関係にあるが、瞑想と呪術を知る人は少ない。マンダラ研究本が退屈なのはここを理屈で…

高橋源一郎

1冊読了。 94冊目『「悪」と戦う』高橋源一郎(河出書房新社、2010年)/『13日間で「名文」を書けるようになる方法』にノックアウトされたら、本書を読まないわけにはいかない。主役の幼い兄弟は高橋の子がモデルになっている。私はポップ文学なるものに全…

齊藤誠、ブライアン・フェイガン、ルソー、福永武彦

3冊挫折、1冊読了。 挫折52『競争の作法 いかに働き、投資するか』齊藤誠(ちくま新書、2010年)/威勢のよさが裏目に出ている。文章に臭みがあって読みにくい。50ページで挫ける。 挫折53『歴史を変えた気候大変動』ブライアン・フェイガン/東郷えりか、桃…

アレクサンドル・コジェーヴ、J・クリシュナムルティ

昨日、2冊読了。 91冊目『権威の概念』アレクサンドル・コジェーヴ/今村真介訳(法政大学出版局、2010年)/スタンレー・ミルグラム著『服従の心理』を読んだ人は必読のこと。哲学性もさることながら、ロジックの脚力が凄い。がっぷり四つでみるみるうちに…

ダニエル・ベル

1冊挫折。 挫折51『二十世紀文化の散歩道』ダニエル・ベル/正慶孝〈しょうけい・たかし〉訳(ダイヤモンド社、1990年)/A5版でおよそ700ページという大冊。梅雨時に読めるような代物ではない。80ページほど読んでやめる。『イデオロギーの終焉』と『脱工業…

シモーヌ・ヴェイユ

1冊挫折。 挫折50『重力と恩寵 シモーヌ・ヴェイユ『カイエ』抄』シモーヌ・ヴェイユ/田辺保訳(講談社、1974年/ちくま学芸文庫、1995年)/100ページを超えたあたりでやめる。肌が合わない。理由は何か? 彼女の信仰のせいではない。信仰であれば多少なり…

ジョエル・ベイカン、マックス・ヴェーバー

1冊挫折、1冊読了。 挫折49『ザ・コーポレーション わたしたちの社会は「企業」に支配されている』ジョエル・ベイカン/酒井泰介訳(早川書房、2004年)/動画の足下にも及ばない。っていうか多分、動画の出来がよすぎたのだろう。見事な肩透かし。読みたい…

正慶孝、藤原肇

1冊読了。 89冊目『ジャパン・レボリューション 「日本再生」への処方箋』正慶孝〈しょうけい・たかし〉、藤原肇(清流出版、2003年)/藤原肇と平野貞夫の対談を読んで早速入手した。100ページ前後で挫けそうになったが、何とか読み終えた。昔の「時事放談…

ジャック・ロンドン、永井陽之助、夏目漱石、ラッタウット・ラープチャルーンサップ

4冊挫折。 挫折45『どん底の人びと ロンドン1902』ジャック・ロンドン/行方昭夫訳(岩波文庫、1995年)/体力不足にて挫ける。再読する予定。 挫折46『現代と戦略』永井陽之助(文藝春秋、1985年)/体力不足にて挫ける。これも再読する予定。 挫折47『吾輩…

菅原出

1冊読了。 88冊目『アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか』菅原出〈すがわら・いずる〉(草思社、2002年)/今月の課題図書。昨年読んだばかりだが、やはり面白い作品は何度読んでも面白いものだ。第二次世界大戦前後の米国裏面史。菅原は33歳という若さ…

江副浩正、岡真理、イーブリン・ブロー

2冊挫折、1冊読了。 挫折43『リクルート事件・江副浩正の真実』江副浩正〈えぞえ・ひろまさ〉(中央公論新社、2009年)/江副は人がよすぎる。だからこそ検察に付け込まれたのだろう。トーンが穏やかすぎて読む気が失せた。 挫折44『記憶/物語』岡真理(岩…

アンドレ・コント=スポンヴィル、ナオミ・クライン、トム・ロブ・スミス

2冊挫折、2冊読了。 挫折41『資本主義に徳はあるか』アンドレ・コント=スポンヴィル/小須田健〈こすだ・けん〉、C・カンタン訳(紀伊國屋書店、2006年)/250ページでやめた。本書の半分が質疑応答となっているが、さほど面白くない。前半の講演もチマチマ…

福永武彦、魚住昭、ジェイムズ・リーズナー、J・クリシュナムルティ

2冊挫折、2冊読了。 挫折39『廃市』福永武彦(新潮社、1960年)/旧かな、旧漢字であったため断念。文庫本を入手する予定。 挫折40『野中広務 差別と権力』魚住昭(講談社、2004年/講談社文庫、2006年)/講談社ノンフィクション賞受賞作。自民、公明が連立…

ロバート・カーソン、J・クリシュナムルティ

1冊挫折、1冊読了。 挫折38『シャドウ・ダイバー 深海に眠るUボートの謎を解き明かした男たち』(上)ロバート・カーソン/上野元美〈うえの・もとみ〉訳(早川書房、2005年/ハヤカワ文庫、2008年)/100ページを超えたあたりで挫ける。これは著者のせいで…

ジェフリー・ディーヴァー

1冊読了。 81冊目『ウォッチメイカー』ジェフリー・ディーヴァー/池田真紀子訳(文藝春秋、2007年)/500ページ上下二段を一日半で読了。リンカーン・ライム・シリーズの最高傑作といっていいのではなかろうか。また、同シリーズの集大成的要素も濃い。時計…

岸田秀、トム・ロブ・スミス

2冊読了。 79冊目『歴史を精神分析する』岸田秀〈きしだ・しゅう〉(中公文庫、2007年/新書館、1997年『官僚病の起源』を改題)/再読。数日前に読了。殆ど記憶から欠落していた。こんなに面白かったかね? 岸田唯幻論はわかりやすいだけに読み手は熟慮する…

トム・ロブ・スミス、朝倉慶

2冊読了。 77冊目『チャイルド44 上巻』トム・ロブ・スミス/田口俊樹訳(新潮文庫、2008年)/「超新星」という謳い文句に偽りなし。著者は1979年生まれだから、何と20代でこの作品を書いている。驚愕。空いた口が塞がらない。下の顎が胸まで届きそうだ。舞…