視覚

意志して見る

窪田空穂『現代文の鑑賞と批評』を読んでいると、あるものを鉛筆を手にして描きながら見るのと、鉛筆を手にしないで見るのとでは、まったくちがうというポール・ヴァレリーの文章(『ドガに就て』吉田健一訳、筑摩書房)を思い出します。 いかに見なれたもの…

死者数が“一人の死”を見えなくする/『アラブ、祈りとしての文学』岡真理

イスラエル問題を知れば知るほど暗澹(あんたん)たる気持ちになってくる。世界がどうしてこれほどパレスチナを無視するのかが全く理解できない。 結局のところ、パレスチナってのはイギリスから見た場合、単なる空き地に過ぎなかったということだ。第一次世…

視覚は高尚な感覚/『ゲーテ格言集』ゲーテ

5月11日に父が倒れた。そして、22日に逝ってしまった。短気な性分だったので長く入院することを嫌ったのかもしれない。 父が倒れたのは脳幹出血によるもので、直後に意識不明となった。数日後、左手・両足などに不随意運動が見られたが、意識が戻ることはな…

視覚と脳

視覚は神経疾患の影響を受けることが多い。それどころか眼は、実は脳の一部なのだ。 【『共感覚者の驚くべき日常 形を味わう人、色を聴く人』リチャード・E・シトーウィック/山下篤子訳(草思社、2002年)】 網膜から出て脳に向かう視神経の本数はどのぐら…

情報空間を高い視点から俯瞰する/『心の操縦術 真実のリーダーとマインドオペレーション』苫米地英人

順序を間違えた。読み終えたのはこちらが先。『夢をかなえる洗脳力』は、やや宗教色が強いが、こちらはビジネス色が濃い。アプローチの角度を変えて2冊の本を出すのがベッチーの錬金術だ。その商魂の逞しさまで、私には魅力的に見える。「全く商売上手ね〜」…

神は細部に宿り、宇宙はミクロに存在する/『「量子論」を楽しむ本 ミクロの世界から宇宙まで最先端物理学が図解でわかる!』佐藤勝彦監修

ここ数年、科学本が賑やかだ。福岡伸一著『もう牛を食べても安心か』や池谷裕二著『進化しすぎた脳 中高生と語る〔大脳生理学〕の最前線』などがバカスカ売れたことは記憶に新しい。“未知なる世界への憧れ”や“正確な知識の渇望”といった人々の要求があるのか…

見る、視る、観る/『脳は美をいかに感じるか ピカソやモネが見た世界』セミール・ゼキ

色々な見方がある。五感の中で眼から得る情報量は他の器官を圧倒している。色・形・距離・大きさ・質感などなど。しかしながら、「見る」という脳の構造はいまだによくわかっていない。少し前までは、脳の中で「誰かが」見ているような説明がまかり通ってい…

『進化しすぎた脳 中高生と語る〔大脳生理学〕の最前線』池谷裕二

ベストセラーとなった『海馬 脳は疲れない』はチト物足りなかった。こっちは、池谷裕二氏の面目躍如といったところ。米国で日本人中高生に集中講義をした内容。私が読んできた脳ミソものでは、断トツの1位。『海馬』は一日で読めるが、『進化しすぎた脳』は…

『自分自身への審問』辺見庸

なぜこんなことを言うのか。変な話ですが、〈見る〉あるいは〈視る〉、〈診る〉、〈視認する〉、〈目視する〉、〈監視する〉、〈観察する〉、〈視察する〉という言葉と行為に、ぼくは病前から朧(おぼろ)に怪しいもの、何だか不遜なもの、特権的なもの、優…

『海馬 脳は疲れない』池谷裕二、糸井重里

ちょっと前のベストセラーぐらいに思っていたら、既に5年も経っていて驚いた。「脳味噌モノ」といえば、今は池谷裕二氏が旬。私は今回始めて読んだ次第。 対談なんでスイスイ読める。錯覚の図などが盛り込まれていてバランスもいい。個人的に糸井重里は嫌い…