書評:思想・哲学

核兵器開発の総本山ロスアラモス国立研究所での講話/『クリシュナムルティ・開いた扉』メアリー・ルティエンス

・『クリシュナムルティ・目覚めの時代』メアリー・ルティエンス ・『クリシュナムルティ・実践の時代』メアリー・ルティエンス ・核兵器開発の総本山ロスアラモス国立研究所での講話ロスアラモス国立研究所といえばマンハッタン計画である。核兵器の開発は…

瞑想とは何か/『クリシュナムルティの瞑想録 自由への飛翔』J・クリシュナムルティ

瞑想は冥想とも書く。「瞑」は目をつぶることで、「冥」は「くらい」と読む。冥(くら)き途(みち)と書いて冥途(めいど)と申すなり。 ブッダは瞑想の果てに仏となった。仏とは覚者の謂いで、ブッダという呼称には「目覚めた人」という意味がある。仏教で…

内面的な腐敗と堕落/『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー 4 クリシュナムルティの手帖より』J・クリシュナムルティ

・『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー クリシュナムルティの手帖より 1』J・クリシュナムルティ ・『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー クリシュナムルティの手帖より 2』J・クリシュナムルティ ・『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー クリシュナムルティの…

覚者は一法を悟る/『白い炎 クリシュナムルティ初期トーク集』J.クリシュナムルティ

収められているのは1927〜1930年に行われたインタビューと講話である。星の教会を解散したのが1929年だから、神秘宗教の匂いが強い。読むのであれば、後回しにするべきだ。つまらぬ先入観を持ってしまえば、クリシュナムルティをスピリチュアル系の枠組みで…

「観察」のヒント/『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー 3 クリシュナムルティの手帖より』J・クリシュナムルティ

・『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー 1 クリシュナムルティの手帖より』J・クリシュナムルティ ・『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー 2 クリシュナムルティの手帖より』J・クリシュナムルティ ・「観察」のヒント・『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー 4 …

コミュニケーションの本質は「理解」にある/『自我の終焉 絶対自由への道』J・クリシュナムーティ

・クリシュナムルティはアインシュタインに匹敵する ・コミュニケーションの本質は「理解」にある ・クリシュナムルティ「自我の終焉」 ・クリシュナムルティの三法印 原書は1954年に発行されている。ってことは昭和29年だ。「もはや戦後ではない」と経済白…

クリシュナムルティが放つ光/『クリシュナムルティ・実践の時代』メアリー・ルティエンス

・『クリシュナムルティ・目覚めの時代』メアリー・ルティエンス ・クリシュナムルティが放つ光・『クリシュナムルティ・開いた扉』メアリー・ルティエンス 三部作評伝の第二作で、『クリシュナムルティ・目覚めの時代』に続くもの。「プロセス」という悟達…

相対性からの脱却/『学校への手紙』J・クリシュナムルティ

「比較が分断を生む」の続き―― 比較が分断を生み、分断がヒエラルキーを形成する。企業は信用力でランク付けされ、企業内では肩書きによって序列が構成される。家庭や地域においても同様である。ヒエラルキーは入れ子構造となっている。その全てが「比較」と…

比較が分断を生む/『学校への手紙』J・クリシュナムルティ

「人間は人間を利用し食いものにしてきた」の続き―― この手紙でクリシュナムルティは、分断された人間関係の様相を照射する―― 私たちは人間関係をバラバラに解体してしまっているので、人間関係は、ある特定の人物に対する関係、ある特定のグループに対する…

人間は人間を利用し食いものにしてきた/『学校への手紙』J・クリシュナムルティ

長いテキストなので3回に分けて紹介しよう。 法華経の展開に広・略・要(こう・りゃく・よう)という三種類がある。広は広く全体に行き渡るもので、略は簡略したもの、要は肝要・エッセンスとなる。クリシュナムルティの言説には明らかに意図的な省略が窺え…

星の教団解散宣言〜「真理は途なき大地である」/『クリシュナムルティ・目覚めの時代』メアリー・ルティエンス

・クリシュナムルティの人間宣言 ・星の教団解散宣言〜「真理は途なき大地である」・『クリシュナムルティ・実践の時代』メアリー・ルティエンス ・『クリシュナムルティ・開いた扉』メアリー・ルティエンス 神智学協会から「世界教師」と目された青年は、真…

クリシュナムルティの人間宣言/『クリシュナムルティ・目覚めの時代』メアリー・ルティエンス

・クリシュナムルティの人間宣言 ・星の教団解散宣言〜「真理は途なき大地である」・『クリシュナムルティ・実践の時代』メアリー・ルティエンス ・『クリシュナムルティ・開いた扉』メアリー・ルティエンス クリシュナムルティをニューエイジに貶めるべきで…

あなたは人類全体に対して責任がある/『学校への手紙』J・クリシュナムルティ

世界各地を飛び回るクリシュナムルティが、インド・アメリカ・イギリスの各学校に宛てて書いたメッセージが収められている。1978年9月から1980年3月分。いずれも簡にして要を得た文章で、クリシュナムルティの思想を理解しやすいものにしている。いつもの挑…

思考の終焉/『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー 2 クリシュナムルティの手帖より』J・クリシュナムルティ

・『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー 1 クリシュナムルティの手帖より』J・クリシュナムルティ ・あらゆる蓄積は束縛である ・意識は過去の過程である ・思考の終焉・『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー 3 クリシュナムルティの手帖より』J・クリシュナム…

意識は過去の過程である/『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー 2 クリシュナムルティの手帖より』J・クリシュナムルティ

・『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー クリシュナムルティの手帖より 1』J・クリシュナムルティ ・あらゆる蓄積は束縛である ・意識は過去の過程である ・思考の終焉・『生と覚醒のコメンタリー 3 クリシュナムルティの手帖より』J・クリシュナムルティ 「…

あらゆる蓄積は束縛である/『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー 2 クリシュナムルティの手帖より』J・クリシュナムルティ

・『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー クリシュナムルティの手帖より 1』J・クリシュナムルティ ・あらゆる蓄積は束縛である ・意識は過去の過程である ・思考の終焉・『生と覚醒のコメンタリー 3 クリシュナムルティの手帖より』J・クリシュナムルティ ・…

断片化の要因/『生の全体性』J・クリシュナムルティ、デヴィッド・ボーム、デヴィッド・シャインバーグ

傑作という言葉は相応(ふさわ)しくない。人為的な作品といった次元を軽々と凌駕(りょうが)している。人類の知性が辿り着いた最高峰であり、経典に位置すべき内容だ。ただし、いきなりこの本を読んでも理解し難いことだろう。物事には順序がある。せめて…

ただひとりあること〜単独性と孤独性/『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー 1 クリシュナムルティの手帖より』J・クリシュナムルティ

・『真理の種子 クリシュナムルティ対話集 Truth And Actuality』 ・ただひとりあること〜単独性と孤独性 ・三人の敬虔なる利己主義者 ・僧侶、学者、運動家 ・本覚思想とは時間論 ・本覚思想とは時間的有限性の打破 ・一体化への願望 ・音楽を聴く行為は逃…

人間の問題 2/『あなたは世界だ』J・クリシュナムルティ

「人間の問題 1」の続き―― 世界は完全に分裂しています。 ヒンドゥー教徒、イスラム教徒、クリスチャン、共産主義者というイデオロギー的な分裂、それは測りしれないほどの害を、非常な憎しみと対立をもたらしています。 宗教的なものであろうと政治的なもの…

人間の問題 1/『あなたは世界だ』J・クリシュナムルティ

・『学校への手紙』J・クリシュナムルティ ・人間の問題 1 ・人間の問題 2 ・言葉によらないコミュニケーションの存在 ・正しい質問 ・思想する体/『フェルデンクライス身体訓練法 からだからこころをひらく』モーシェ・フェルデンクライス・ジドゥ・クリシ…

無学な母親が語る偉大な哲学/『君あり、故に我あり 依存の宣言』サティシュ・クマール

・『精神の自由ということ 神なき時代の哲学』アンドレ・コント=スポンヴィル ・無学な母親が語る偉大な哲学 ・個別性と他者との関係 ・ジャイナ教の非暴力 ・観察するものと観察されるもの ・歩く瞑想・『生きる技法』安冨歩 サティシュ・クマールは自らの…

理想を否定せよ/『クリシュナムルティの教育・人生論 心理的アウトサイダーとしての新しい人間の可能性』大野純一

・世界中の教育は失敗した ・手段と目的 ・理想を否定せよ ・創造的少数者=アウトサイダー ・公教育は災いである ・日本に宗教は必要ですか? ・目的は手段の中にある クリシュナムルティのメッセージは「一切の条件づけに反逆せよ。そのために、ただひたす…

非暴力の欺瞞/『気づきの探究 クリシュナムルティとともに考える』ススナガ・ウェーラペルマ

・あらゆる信念には精神を曇らせる効果がある ・非暴力の欺瞞 ・真実在=リアリティ クリシュナムルティはガンディーとも親交があった。しかし徹底してガンディーの非暴力を批判した。「非暴力を説く前に、暴力という現実を見つめるべきだ」というのがクリシ…

あなたは「過去のコピー」にすぎない/『私は何も信じない クリシュナムルティ対談集』J・クリシュナムルティ

・クリシュナムルティとの出会いは衝撃というよりも事故そのもの ・あなたは「過去のコピー」にすぎない ・レオポルド・ストコフスキーとの対談 彼は一瞬私を優しく見つめ、それから言った。「あなた――あなたの身体、感情、思考――は、過去の結果です。あなた…

世界中の教育は失敗した/『クリシュナムルティの教育・人生論 心理的アウトサイダーとしての新しい人間の可能性』大野純一

・世界中の教育は失敗した ・手段と目的 ・理想を否定せよ ・創造的少数者=アウトサイダー ・公教育は災いである ・日本に宗教は必要ですか? ・目的は手段の中にある クリシュナムルティのトーク(講話)、質疑応答と大野純一の解説で構成されている。質疑…

あらゆる信念には精神を曇らせる効果がある/『気づきの探究 クリシュナムルティとともに考える』ススナガ・ウェーラペルマ

・あらゆる信念には精神を曇らせる効果がある ・非暴力の欺瞞 ・真実在=リアリティ 各章の冒頭にクリシュナムルティの言葉を掲げ、思索をめぐらしている。ススナガ・ウェーラペルマはスリランカ出身で、若き日よりクリシュナムルティに師事した。訂正しよう…

名誉心について/『人生論ノート』三木清

・幸福は外に現れる ・現代人は健康を味わえない ・名誉心について ・人間の虚栄心は死をも対象とすることができる ・真の懐疑は精神の成熟を示すものである ・断念する者のみが希望することができる 去る9月から読書サークルを立ち上げた。これが2冊目の課…

クリシュナムルティとの出会いは衝撃というよりも事故そのもの/『私は何も信じない クリシュナムルティ対談集』J・クリシュナムルティ

・クリシュナムルティとの出会いは衝撃というよりも事故そのもの ・あなたは「過去のコピー」にすぎない ・レオポルド・ストコフスキーとの対談 読み始めたのは10月の19日か20日だった。私はクリシュナムルティの名前は知っていたが、いかなる人物なのか皆目…

「理想的年代記」は物語を紡げない/『物語の哲学 柳田國男と歴史の発見』野家啓一

今年、最大の収穫。脳内のシナプスがバチバチと火花を散らしながら、次々と新しい回路を形成した。 私は20年ほど前から大乗仏教の成立について様々な疑問を抱いていた。最大の疑問は膨大な経典のいずれもが「無署名」であることだった。しかも、それらが「ブ…

戦いて勝つは易く、守りて勝つは難し/『呉子』尾崎秀樹訳

・戦いて勝つは易く、守りて勝つは難し・『中国古典名言事典』諸橋轍次 「孫呉の兵法」と呼ばれ、『孫氏』と並び称されているのが『呉子』である。書いたのは紀元前4世紀初頭に活躍したとされる呉起。見識というよりも智慧といった方が相応(ふさわ)しい。…