書評:国際情報

『この大地に命与えられし者たちへ』写真・文 桃井和馬

写真とは切り取られた“瞬間”である。何をどう写すかは、カメラを持つ者の立ち位置で決まる。桃井和馬は世界140ヶ国を飛び回り、己の視線が捉えた光景と人々を“永遠”に刻みつけようとしている。 万物は諸行無常であり生老病死のリズムを奏でる。桃井は敢えて…

ルワンダ大虐殺の始まり/『ジェノサイドの丘』フィリップ・ゴーレイヴィッチ

ルワンダ――この国名は、もはや私にとって他人事では済まされない。骨髄に刻まれた感がある。人間の狂気と寛容とを兼ね備え、殺した人々と殺された人々の家族が共に住む大地。その重みに耐えかねて、アフリカ大陸は窪んでしまっていることと想像する。 教室の…

CIA局員の表向きの肩書きは大使館員、広告・出版関係者/『日本テレビとCIA 発掘された「正力ファイル」』有馬哲夫

CIA局員の表向きの肩書きは大使館員、広告・出版関係者 『秘密のファイル CIAの対日工作』春名幹男 マッカーシズムは正しかったのか?/『ヴェノナ』ジョン・アール・ヘインズ、ハーヴェイ・クレア 私が子供の時分からスパイに憧れていたのは、テレビアニメ…

近代政府による組織的な宣伝活動/『メディア・コントロール 正義なき民主主義と国際社会』ノーム・チョムスキー

『9.11 アメリカに報復する資格はない!』ノーム・チョムスキー 近代政府による組織的な宣伝活動 アメリカ軍国主義が日本を豊かにした ウォルター・リップマンの策略 観客民主主義 民主主義の新しい革命的な技法=合意のでっちあげ 「必要な幻想」による「過…

『国家の自縛』佐藤優

佐藤優氏の著書としては『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』に続く第二弾。聞き手は産経新聞社の斎藤勉氏。佐藤氏は、どのような球も鮮やかに打ち返す。しかも、「なぜ、ここに打ったのか」との理由まで示す。圧倒的な知識量と論理力の前に、読者は…

『フォト・ドキュメント テロ死/戦争死』第三書館編集部・編

こうした作品にそれなりの意味はあるのだろう。テロや戦争の犠牲となった遺体の写真集だ。現代社会は死を隠蔽するから、「これが現実なんだぞ!」と言われれば、「はい、そうですか」と答えるしかない。 出版当初、大手取次のトーハンが委託を拒否した。 『…

思想と対抗思想の違い/『ナショナリズムという迷宮 ラスプーチンかく語りき』佐藤優、魚住昭

佐藤優氏の著作を読むのはこれで2冊目。ウーム、麻薬のような習慣性に取りつかれそうだ。麻薬じゃマイナスイメージが強いから、「知的強壮剤」と命名しておこう。佐藤氏の言論は、大半の人々に「無知」を自覚させる。しかも、完膚なきまでに。その反動として…

『ドキュメント 戦争広告代理店 情報操作とボスニア紛争』高木徹

米国民間企業がPR手法を駆使して、国際世論を動かした。いまだに多くの人々が、セルビア人が加害者でムスリム人が被害者だと思い込んでいるはずだ。ミロシェビッチは悪の権化とかね。国際世論を見方にした方が勝つという、戦争の新たな次元を示している。た…

『世界反米ジョーク集』早坂隆

ジョークに期待しない方がよい。品もないし、面白くもない。大事なのは「世界中でジョークにされているアメリカ」という事実だ。 タイトルと内容がそぐわない。軽い気持ちで手に取らせて、アメリカの現実を教えようとしたのかも知れない。「アメリカが世界で…

『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』佐藤優

「国士」という古臭い言葉を思い出した。日露外交の最先端で働く外務官僚が、なぜ逮捕され服役するに至ったのか? 外務省組織の力学と、外交のディープな世界が赤裸々に綴られている。 取り調べの段階で、西村氏の目が挑戦的に光った。 「あなたは頭のいい人…

『仕掛け、壊し、奪い去るアメリカの論理 マネーの時代を生きる君たちへ 原田武夫の東大講義録』原田武夫

最近の日米関係を通して綴る金融経済入門。右ページが全て用語解説となっていて初心者でもわかりやすい構成。著者は元外務官僚で、政治の舞台裏からアメリカの意図を読み解いている。尚、この講義は正規単位として認められている。アメリカの巧妙な手口は、…

『不肖・宮嶋 メディアのウソ、教えたる!』宮嶋茂樹

報道カメラマンの宮嶋茂樹氏が、中学生向けにメディアリテラシーを説いた本。実にわかりやすく丁寧な文章が著者の人間性を表している。学校の先生は必読。中学の教科書に採用してもらいたいぐらいだ。巻末では、自分がカメラマンになった経緯を紹介し、将来…

『犯罪の大地 ソ連捜査検事の手記』F・ニェズナンスキイ

1976年7月25日19:07(モスクワ時間)、水爆の発射ボタンが押される。モルヒネで朦朧とした状態の6名の軍勤務者たちによって。だが幸運にも当直士官ソドロフ少佐がその晩、交代直前にミサイルの発射装置を手動に切り替えていた。 旧ソ連軍にはアル中、薬中が…

『9.11 アメリカは巨大な嘘をついた』ジョン・コールマン博士/太田龍監訳

ノーム・チョムスキーの『9.11 アメリカに報復する資格はない!』をはるかに凌駕する内容。尚、『陰謀家たちの超権力構造 三百人委員会 ついに暴かれた秘密世界政府の“極悪”正体!』によれば300人委員会のメンバーの一人にチョムスキーの名前も挙がっている…

『陰謀家たちの超権力構造 三百人委員会 ついに暴かれた秘密世界政府の“極悪”正体!』ジョン・コールマン/歴史修正学会訳

三つの翻訳が出ている。 『300人委員会 「世界人間牧場計画」の準備はととのった!!』太田龍訳(KKベストセラーズ) 『三百人委員会 陰謀家たちの権力構造 新世界秩序は人類奴隷化計画だった』島講一訳(雷韻出版:絶版) 太田龍の訳が一番読みやすい。失敗…