古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

2010-11-21から1日間の記事一覧

ヴォルテールが生まれた日

今日はヴォルテールが生まれた日(1964年)。「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」(または「…だがあなたがそれを主張する権利には賛成だ」)という言葉は、民主主義・自由主義のとりわけ表現の自由、言論の自由…

E=mc²の式が学術誌に掲載された日

今日はE=mc²の式が載ったアルベルト・アインシュタインの特殊相対性理論の第2論文がドイツの学術誌『Annalen der Physik』(ドイツ語)に掲載された日(1905年)。アインシュタインは当時26歳。まだ無名の特許局員であった。質量とエネルギーの等価性を表す…

一人を喜ばせるよりも、皆を悲しませないように

(※引退の)発表を5時にしたのは訳があった。 午前中に発表すると、夕刊の締切り時間に間に合ってしまい、朝刊だけの新聞は不利になる。父がいつも教えてくれた。 「ひとりの人を喜ばせるよりも、皆を悲しませないようにして上げるんだ。貞治、忘れないこと…

手話は独立した完全な言語

手話というのは身振りやパントマイムの一種だろうと思っている人が多い。教育者が発明したとか、周囲の話し言葉を暗号化したものだとかいう思い込みもある。が、すべて間違っている。聴覚障害者の共同体があれば、必ず手話も存在する。手話はそれぞれ、独立…

『物質のすべては光 現代物理学が明かす、力と質量の起源』フランク・ウィルチェック/吉田三知世訳(早川書房、2009年)

磁力や重力を思い出せばわかるとおり、物体のあいだに働く力はふつう、互いに離れるほど弱くなる。離れるほど引きあう力が強くなる、そんな作用を考えるなんて馬鹿げていると皆は言ったが、その「漸近的自由性」を実際に見つけた本書の著者は素粒子物理学を…

『暗黙知の次元』マイケル・ポランニー/高橋勇夫訳(ちくま学芸文庫、2003年)

人間には、言語の背後にあって言語化されない知がある。「暗黙知」、それは人間の日常的な知覚・学習・行動を可能にするだけではない。暗黙知は生を更新し、知を更新する。それは創造性に溢れる科学的探求の源泉となり、新しい真実と倫理を探求するための原…

『エスの系譜 沈黙の西洋思想史』互盛央(講談社、2010年)

「考える」「思う」の主語は何か。「思われること」は、本当に「私に思われ」ているのか。「私」を「捏造」したデカルトは、すでにこの問いを封印していた。しかし、近代以降、この沈黙の事象に対する哲学者たちの悪戦苦闘が始まった。リヒテンベルクに始ま…