古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

2009-07-31から1日間の記事一覧

『死と狂気』渡辺哲夫(ちくま学芸文庫、2002年)

ここに6人の重篤な精神分裂病者がいる。“死”にとりまかれた彼らの狂気を診るにつけ、その病の本質がみえてくる。“死者”を死者たらしめることができないとき、人は狂気の淵をのぞきこむ。翻って、私たちの生は、無量無数の死者たちに支えられ、歴史として構造…

『知覚の呪縛 病理学的考察』渡辺哲夫(ちくま学芸文庫、2002年)

重篤な分裂病者の言葉に徹底的に耳を傾け、その世界に身を投じ、自らを変容させ、その変容を論理的に記述、分析、哲学的考察を加えることで、初めて立ち現れてくる分裂病者の世界。私たちが抱く「分裂病」の一般的イメージを根底より破壊する衝撃の一冊。

イラクチームの快進撃を政治利用したブッシュ大統領/『蹴る群れ』木村元彦

私はサッカーをまったく観ない。多分、日本代表がワールドカップの決勝戦に進出したとしても観ることはないだろう。そんな私が本書を開くや否や、一気に引きずり込まれ、貪(むさぼ)るように読んだ。 彼等は紛争という大地に立っていた。彼等は人種差別とい…